葬式費用は誰の負担?
[相談]
先日、父が死亡し、長男である私が喪主となり、葬儀を執り行いました。葬儀の際に、参列者から香典を頂きましたが、葬式費用の方が多くなったため、次男に対して負担をお願いしたいと考えております。ところで「葬式費用」については、法律上どのような扱いなのでしょうか?
[回答]
◆葬式費用は誰が負担するべきか・・・
葬式費用については、民法第309条で先取特権が認められていることを理由に、@「葬式費用を相続財産の負担とする考え方」と、現行民法が祭祀財産の承継を相続から除外したことに対応して、故人の葬式費用についてもA「喪主が負担する考え方」の二つの考え方があります。なお、葬式費用の負担について、民法に明確な規定はなく、裁判例を見ても見解が分かれているため、時に誰が負担するかで、問題になります。
明確な規定や裁判例こそありませんが、民法にある規定の趣旨や一般的な慣習をもとに解釈すると、身分相応の葬式費用については、
@「香典」で賄い、賄いきれなかった不足分については、 A故人の相続財産の中から支払い、さらに不足する時は、 B相続「債務」と同じように、その相続人が相続分に応じて負担すべきもの
と解するのが妥当であるように思われます。
もっとも、葬式費用を誰が負担するか、喪主が誰になるかなどで無用な争いを生まないためにも、遺言書の付言やエンディングノートなどを有効に使い、葬式費用の負担や喪主について明記することや、葬式費用を生前に見積もっておき、その額を明確にして残しておくなどをしておくとよいでしょう。
(参考文献) ・「新版 注釈民法(26)相続(1) 編:中川善之助、泉久雄 発行所:有斐閣」 ・「相続の法律相談(第5版)法律相談シリーズ 編:野田愛子・松原正明 発行者:有斐閣」 |