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改正で申告忘れ、選択し忘れの救済がなされます、必ず確認を 2011/01/14
 平成23年度税制改正のなかで、前回は更正の請求に関する改正のうち、「更
正期間の延長」についてお伝えしました。今回も引き続き、更正の請求のなか
から実務で重要な改正ポイントをお伝えしようと思います。

 今回は「更正の請求の範囲拡大」について、です。

 申告をする際に、どちらか選択が認められているようなものに関しては申告
時に選択した場合に限り、適用が認められていました。つまり、AとBの選択
肢があった場合、申告でAとして申告しない限り、Aは認められませんし、当
初の申告でAと選択した以上、その後Bへの選択変更は認められていません。

 これを「当初申告要件」といいます。

 また、当初申告で記載された控除限度額は、その後増差が認められても当初
申告で記載された控除限度額しか認められない、つまり、更正の請求の要件と
はならない「控除額の制限」がありました。

 この当初申告要件や控除額の制限について、現行の実務ではかなり不利な状
況になる場合がありました。

 たとえば、海外からインセンティブを受け、海外で課された外国税について
外国税額控除が適用できる場合には、租税公課として損金とするか、一旦損金
とはせず、外国税額控除を適用するか、二者択一です。そのため、当初申告で
租税公課として損金処理した場合、その後外国税額控除を適用するための更正
の請求をすることはできません。また別のケースとして、当初申告した外国税
額控除の限度額が税務調査などにより増差が出て限度額が増えても、当初申告
した限度額までしか認めてもらえないという、何とも不条理な状況にありまし
た。

 この当初申告要件や控除額の制限について、今回の改正案では見直しがなさ
れています。具体的には、次の当初申告要件の廃止や控除額の制限の見直しが
され、更正の請求の範囲が拡大されることになりそうです。

当初申告要件を廃止する措置
・給与所得者の特定支出控除(所法57の2)
・資産の譲渡代金が回収不能となった場合等の所得計算の特例(所法64)
・純損失の繰越控除(所法70)
・雑損失の繰越控除(所法71)
・変動所得及び臨時所得の平均課税(所法90)
・資産に係る控除対象外消費税額等の必要経費算入(所令182の2)
・受取配当等の益金不算入(法法23、81の4)
・外国子会社から受ける配当等の益金不算入(法法23の2)
・国等に対する寄附金、指定寄附金及び特定公益増進法人に対する寄附金の損
  金算入(法法37、81の6)
・会社更生等による債務免除等があった場合の欠損金の損金算入(法法59)
・協同組合等の事業分量配当等の損金算入(法法60の2)
・所得税額控除(法法68、81の14)
・外国税額控除(法法69、81の15、所法95)
・公益社団法人又は公益財団法人の寄附金の損金算入限度額の特例
  (法令73の2)
・引継対象外未処理欠損金額の計算に係る特例(法令113)
・特定株主等によって支配された欠損等法人の欠損金の制限の5倍要件の判定
  の特例(法令113の2L)
・特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入の対象外となる資産の特例
  (法令123の8B五)
・特定資産に係る譲渡等損失額の計算の特例(法令123の9)
・配偶者に対する相続税額の軽減(相法19の2)
・贈与税の配偶者控除(相法21の6)
・相続税額から控除する贈与税相当額等(相令4)

控除額の制限を見直す措置
・受取配当等の益金不算入(法法23、81の4)
・外国子会社から受ける配当等の益金不算入(法法23の2)
・国等に対する寄附金、指定寄附金及び特定公益増進法人に対する寄附金の損
  金算入(法法37、81の6)
・所得税額控除(法法68、81の14)
・外国税額控除(法法69、81の15、所法95)
・試験研究を行った場合の法人税額の特別控除(措法10、42の4、68の9)
・試験研究を行った場合の法人税額の特別控除の特例
  (一部※)(措法10の2、42の4の2、68の9の2)
・中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除
  (措法10の3、42の6、68の11)
・沖縄の特定中小企業者が経営革新設備等を取得した場合の特別償却又は法人
  税額の特別控除(措法10の5、42の10、68の14)
・法人税の額から控除される特別控除額の特例(措法10の6、42の11、68の15)
・青色申告特別控除(65万円)(措法25の2)
・電子証明書を有する個人の電子情報処理組織による申告に係る所得税額の特
  別控除(※)(措法41の19の5)
・沖縄の特定地域において工業用機械等を取得した場合の法人税額の特別控除
  (措法42の9、68の13)

(注)※印の付いている措置は、平成23年3月31日までに適用期限が到来する
ものです。

 ただし、当初申告要件について、次の1及び2のいずれかに該当する場合につ
いては、従前と同様に更正の請求の対象からは外れるようですので、注意しま
しょう。
 1.インセンティブ措置(例:設備投資に係る特別償却)
 2.利用するかしないかで、有利にも不利にもなる操作可能な措置
    (例:各種引当金)

 なお、この改正は、平成23年4月1日以後に法定申告期限等が到来する国税に
ついて適用されるようです。
 

            
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