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[相談]
被相続人からの遺言により、被相続人の事業の用に供していた宅地は、
親族以外のAさんに遺贈されることになりました。
この場合、小規模宅地等の特例の適用は可能でしょうか?
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[回答]
小規模宅地等の特例の適用対象者は、適用対象となる宅地等を相続又は
遺贈により取得した親族とありますので、親族であれば遺贈で取得した場
合も適用があります。
ただし、質問にあるAさんは、遺贈で取得しても親族ではありませんの
で、小規模宅地等の特例の適用は受けられません。
[解説]
◎親族の意義(民法725)
親族とは、イ 6親等内の血族、ロ 配偶者、ハ 3親等内の姻族をいいま
す。
◎小規模宅地等について(以下、事業用のみ抜粋)
1 適用要件(措法69の4(1))
個人が相続又は遺贈により取得した宅地等のうちに、相続開始の
直前において、被相続人等の事業の用に供されていた宅地等で建
物又は構築物の敷地の用に供されているもので、特定事業用宅地
等、特定同族会社事業用宅地等及び貸付事業用宅地等に該当する
もの。
2 特定事業用宅地等(減額割合80%)(措法69の4(3)一)
被相続人等の事業(不動産貸付等を除く)の用に供されていた宅
地等で、次のイ、ロの要件のいずれかを満たす被相続人の親族が
相続又は遺贈により取得したものをいいます。
イ その親族が、被相続人の事業の用に供されていた宅地等を取得
し、かつ、申告期限までその宅地等を所有し、その事業を営ん
でいること。
ロ 被相続人と生計を一にしていた親族が、相続開始前から自己の
事業の用に供している宅地等を取得し、かつ申告期限までその
宅地等を取得し、その事業を引き続き営んでいること。
3 特定同族会社(※)事業用宅地等(減額割合80%)(措法69の4(3)三)
特定同族会社の事業(不動産貸付等を除く)の用に供されていた
宅地等で、その宅地等を相続又は遺贈により取得した被相続人の
親族(申告期限においてその法人の役員である者)がいる場合に
おいて、その宅地等を取得したその親族が申告期限まで所有し、
かつ、申告期限までその特定同族会社の事業の用に供されている
場合のその宅地等をいいます。
(※)特定同族会社の意義
相続開始直前に被相続人及びその同族関係者が有する株式の
総数又は出資の総額がその株式又は出資に係る法人の発行済
株式の総数又は出資の総額の10分の5超である法人をいいま
す。
4 貸付事業用宅地等(減額割合50%)(措法69の4(3)四)
被相続人等の事業(不動産貸付業、駐車場業及び準事業に限りま
す。以下「貸付事業」といいます。)の用に供されていた宅地等
で、次のイ、ロの要件のいずれかを満たす被相続人の親族が相続
又は遺贈により取得したものをいいます。
イ その親族が相続開始時から申告期限までの間にその宅地等に係
る被相続人の貸付事業を引き継ぎ、申告期限まで引き続きの宅
地等を有し、かつ、その貸付事業の用に供していること。
ロ 被相続人と生計を一にしていた親族が、相続開始時から申告期
限で引き続きその宅地等を有し、かつ、相続開始前から申告期
限まで引き続きその宅地等を自己の貸付事業の用に供している
こと。