年末に向けて、お金の回収や支払、年末年始の休暇による配送準備等やるべ
きことはたくさんあります。特に、給料を支払っている役員、従業員に対する
『年末調整』も控えていますので、スケジュール管理は普段以上に大切な時期
でしょう。
年末調整の計算自体は12月に行いますが、準備は10月から既に始まります。
今回は、10月に行っておくべき年末調整の事柄をお知らせしたいと思います。
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◆平成22年分 年末調整確認表 10月
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まず、年末調整で10月に確認すべきことあるいは行っておくべきことを、
以下の表で確認しましょう。
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│ 項目 │ 確認すべき/行っておくべきこと │
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│年調対象者の│□ 年末調整の対象となる従業員や役員などの確認 │
│確認 │□ 対象者分の「給与所得者の扶養控除等申告書」を確認│
│ │ …書類がなければ用意します。 │
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│書類の準備 │□ 税務署から郵送される書類一式を準備 │
│ │ …国税庁HPからダウンロード利用もできます。 │
│ │□ 給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者│
│ │特別控除申告書 │
│ │□ 給与所得者の扶養控除等申告書(来年分) │
├──────┼──────────────────────────┤
│対象者へ配布│□ 給与所得者の扶養控除等申告書(今年分) │
│ │ …既に提出を受けている分は一旦返却し、本人に変動が│
│ │ ないか確認してもらいましょう。 │
│ │ …変動の場合は赤字訂正をしてもらうと、変動事項が分│
│ │ かりやすく便利です。 │
│ │□ 給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者│
│ │特別控除申告書 │
│ │…必要項目の記載と控除証明書の添付を指導しましょう。│
│ │□ 給与所得者の扶養控除等申告書(来年分) │
│ │ …来年1月以降の給与を受取る者が対象です。 │
│ │ …提出期限は、原則、翌年最初に給与の支払を受けると│
│ │きまでですが、この時点で記載、提出してもらうと事務の│
│ │手間が減ります。 │
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◆年末調整の対象となる人ならない人
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10月に確認すべき最初の事柄は、年末調整の対象となる人とならない人の
選別です。
年末調整の対象となる人には、各種書類の準備を行っていただきますが、対
象とならない場合には年末調整をする必要はありませんので、各種書類の準備
や提出を行ってもらう必要はありません。対象となるか否かの選別は重要です
から、判断を誤らないようにしましょう。
年末調整の対象となる人、ならない人の選別は次の通りです。
┌─────────┬───────────────────────┐
│ 対象/対象外 │ 要件 │
├─────────┼───────────────────────┤
│年末調整の対象とな│次のいずれの要件にも該当する人をいいます。 │
│る人 │ │
│ │(1) 本年最後の給与の支払時に「給与所得者の扶養│
│ │控除等(異動)申告書」を提出している人 │
│ │…源泉徴収税額表の甲欄を適用して給与計算を行っ│
│ │ている人を指します。 │
│ │(2) 本年中の給与総額が2,000万円以下の人 │
├─────────┼───────────────────────┤
│年末調整の対象とな│上記以外の人 │
│らない人 │例:・本年中の給与総額が2,000万円を超える人 │
│ │ ・源泉徴収税額表の乙欄や丙欄適用者 │
│ │ ・被災などにより源泉所得税の徴収猶予や還付│
│ │ を受けた人 │
│ │ ・本年の途中で退職した人(一定の人を除く)│
│ │など │
│ │⇒このような人たちは、確定申告をすることで所得│
│ │税が精算されます。 │
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◆年末調整を行う時期
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本年の途中で次のような事由に該当した人は年末調整をする必要があります。
ただし、通常のようなその年の最後の給与を支払うときに年末調整をするので
はなく、それぞれ次のときに年末調整をすることになっています。
┌──────────────────┬──────────────┐
│ 事由 │ 年末調整を実施するとき │
├──────────────────┼──────────────┤
│死亡退職した人 │ │
├──────────────────┤ │
│著しい心身障害のために退職した人で、│ │
│本年中に再就職が不可能と認められる人│ │
├──────────────────┤退職したとき │
│退職したいわゆるパートタイマーなどの│ │
│働き方をしている人のうち、年間の給与│ │
│総額が103万円以下で、かつ、本年中に │ │
│再就職をすると見込まれない人 │ │
├──────────────────┼──────────────┤
│非居住者となった人 │非居住者となったとき │
└──────────────────┴──────────────┘
特に最近は、中小企業であっても海外進出が目覚ましく、海外子会社へ出向、
海外の駐在員事務所へ赴任するなど、年の途中で非居住者となる人が多くい
らっしゃいます。このような人の場合には、非居住者となったときに年末調整
をします。通常の年末調整と実施時期が異なりますので、注意しましょう。
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