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保証債務の履行のための譲渡所得の特例 連帯保証の場合 2011/12/16

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[相談]

 債務者甲株式会社の債務の連帯保証人であるA氏は、A氏の所有する土地を
売って、その譲渡代金3,000万円で保証債務を履行しました。甲株式会社から
は回収できないため、甲株式会社への求償権は放棄しました。
 上記の連帯保証人はA氏とB氏とC氏の三人です。
 この場合、A氏において、保証債務の履行のための譲渡所得の特例の適用の
基礎となる回収不能額等の金額は、3,000万円の全額が対象となりますか?
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[回答]

 所法64条(1)(2)では、保証債務を履行するために土地の譲渡があった場合に
おいて、当該土地の譲渡により得た所得のうち、回収することができないこと
となった金額に対応する部分の金額は所得金額の計算上なかったものとみなす
とされていること、また、A氏はB氏、C氏と共に当該債務の連帯保証人となっ
ており、民法442条で連帯債務者は他の連帯債務者に対し各自の負担部分につ
いて求償権を有するとされていることから、保証債務の履行のための譲渡所得
の特例の適用の基礎となる回収不能額等の金額(甲株式会社に対する求償権の
行使不能額)は、A氏が保証債務を履行した金額3,000万円のうちB氏、C氏への
求償権が残る2,000万円を除く1,000万円となります。
 ただし、上記の回答に至るには、甲株式会社が当該保証債務の対象となって
いる借入を実行した際に、すでに資力がなく、保証債務の履行が確定的であり、
求償権の行使が不能となることが明確な場合には、債務者に対する利益供与、
または私財の提供となるため、甲株式会社がそのような状況でないこと、また、
保証債務の履行後にA氏の甲株式会社への求償権の行使が不能となることが特
例の適用の条件となります(所得税更正処分等取消請求事件、大阪地裁、昭和
56年6月26日判決)。
 なお、求償権の行使が不能とは、所基通64-1をもとに判断されます。

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